🍳チャーハン症候群とカレーの落とし穴|家庭で起こる食中毒の正体とは【薬剤師が解説】

🍳チャーハン症候群とカレーの落とし穴|家庭で起こる食中毒の正体とは【薬剤師が解説】

「昨日の残り物を温め直して食べたら、急に吐き気が…」
そんな経験はありませんか?
近年SNSで話題になっている「チャーハン症候群」は、家庭でも起こり得る食中毒の一種です。特に夏場や作り置き料理では、知らず知らずのうちにリスクが潜んでいます。

本記事では、薬剤師の視点から「チャーハン症候群」と「カレーの作り置き」に潜む危険性と、原因菌の特徴をわかりやすく解説します。


🦠チャーハン症候群とは?

「チャーハン症候群」とは、セレウス菌による食中毒の俗称です。
特に炭水化物系の料理(チャーハン・パスタ・焼きそばなど)で発症しやすく、加熱後に常温で放置することで菌が増殖します。

セレウス菌の特徴

  • 土壌や穀物に広く存在する細菌
  • 芽胞(がほう)という耐熱性の殻を持ち、加熱しても生き残る
  • 常温放置で増殖し、毒素を産生
  • 毒素は再加熱しても分解されにくい

🤢セレウス菌による症状

タイプ 潜伏時間 主な症状 原因食品
嘔吐型 30分〜5時間 吐き気・嘔吐 チャーハン・パスタ・焼きそばなど
下痢型 8〜16時間 下痢・腹痛 肉・野菜なども含む

※ 日本では「嘔吐型」が多く、特に炭水化物料理が原因になりやすいです。


🍛カレーの作り置きに潜むリスク

「一晩寝かせたカレー」は美味しいですが、食中毒のリスクもあります。
カレーにはセレウス菌に加え、ウェルシュ菌という別の細菌も関与します。

ウェルシュ菌の特徴

  • 酸素の少ない鍋底などで増殖
  • 芽胞を形成し、加熱しても生き残る
  • 再加熱しても毒素は分解されにくい

🧪セレウス菌 vs ウェルシュ菌|比較表

項目 セレウス菌
(Bacillus cereus)
ウェルシュ菌
(Clostridium perfringens)
分類 好気性(酸素を好む) 嫌気性(酸素を嫌う)
存在場所 土壌・穀物・米・香辛料など 土壌・動物の腸管・肉類など
増殖環境 常温放置(20〜50℃)で増殖 鍋底など酸素の少ない環境で増殖
芽胞形成 あり(耐熱性) あり(耐熱性)
主な原因食品 チャーハン・パスタ・焼きそば・カレー 肉じゃが・煮物・カレー・シチューなど
潜伏時間 嘔吐型:30分〜5時間
下痢型:8〜16時間
約6〜18時間
主な症状 嘔吐型:吐き気・嘔吐
下痢型:腹痛・下痢
腹痛・下痢(嘔吐は少ない)
毒素の耐熱性 加熱しても分解されにくい 加熱しても分解されにくい

📣まとめ|家庭でも起こる食中毒に注意を

チャーハン症候群やカレーの作り置きによる食中毒は、日常の中に潜むリスクです。
セレウス菌・ウェルシュ菌はどちらも芽胞を形成し、加熱では完全に除去できません。

特に炭水化物料理や煮込み料理では、保存方法や時間管理が重要になります。
「見た目が大丈夫だから」「温めたから安心」と思わず、
食品の性質と菌の特徴を理解することが、食中毒予防の第一歩です。


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