❄️冷え性×漢方|証から読み解く体質別処方
✅この記事でわかること
- 漢方における「証」とは何か
- 冷え性のタイプ分類と原因
- 証に基づく漢方薬の選び方
- 冷え性改善のための生活習慣と食事
- 漢方認定試験にも役立つ知識
🧠漢方の「証」とは?|体質診断の核心
漢方医学では、病名よりも「証(しょう)」を重視します。証とは、患者の体質・症状・気血水のバランス・生活背景などを総合的に判断した診断の型です。
証の分類 |
特徴 |
寒証 |
冷え、顔色が白い、温かいものを好む |
熱証 |
のぼせ、口渇、顔色が赤い |
虚証 |
体力低下、疲れやすい、声が小さい |
実証 |
体力あり、症状が強く出る、便秘など |
🔍冷え性タイプ別:証と処方の完全ガイド
🔥熱源不足タイプ(寒証・虚証)
証 |
主な症状 |
処方例 |
気虚 |
疲れやすい、息切れ、食欲不振 |
補中益気湯、人参湯、黄耆など |
血虚 |
顔色が青白い、めまい、月経不順 |
当帰芍薬散、四物湯、地黄など |
陽虚 |
手足の冷え、寒がり、頻尿 |
八味地黄丸、真武湯、附子・乾姜など |
🔄循環不足タイプ(気滞・瘀血・水滞)
証 |
主な症状 |
処方例 |
気滞 |
イライラ、胸のつかえ、便秘 |
加味逍遙散、半夏厚朴湯、柴胡など |
瘀血 |
くすみ、肩こり、冷えのぼせ |
桂枝茯苓丸、桃核承気湯、紅花など |
水滞 |
むくみ、頭重感、関節痛 |
五苓散、防己黄耆湯、茯苓・沢瀉など |
🍽️冷え性改善の生活習慣と食事|体質別・実践的アプローチ
🔥温める食材
食材 |
特徴と作用 |
活用例 |
生姜 |
発汗・血行促進・胃腸温め |
生姜湯、炒め物、味噌汁 |
ねぎ |
解表・温中・風邪予防 |
鍋物、薬味、味噌汁 |
にんにく |
血流改善・抗菌・温陽 |
炒め物、スープ、漬物 |
シナモン |
血管拡張・冷えのぼせにも有効 |
ハーブティー、焼き菓子 |
羊肉 |
補陽・造血・体力回復 |
シチュー、鍋、スープ |
黒豆 |
補腎・利水・血行促進 |
黒豆煮、炊き込みご飯、スープ |
🚫避けたい習慣
- 冷たい飲食物の摂取(胃腸を冷やし、気血生成力を低下)
- 湯船に浸からない生活(深部体温が上がらず、末端冷えが改善しにくい)
- ストレス過多・運動不足(気滞や筋肉量低下による冷え悪化)
✅おすすめ習慣
- 三首(首・手首・足首)を温める(血管が表面に近く、体温調節に影響大)
- 軽い運動(ウォーキング・ストレッチ)で筋肉による熱産生を促進
- 睡眠と休息の確保(自律神経を整え、血流改善)
📚漢方認定試験対策にも使える知識
1. 証の分類と特徴は頻出項目
証の分類 |
特徴 |
試験ポイント |
寒証 |
冷え、顔色が白い、温かいものを好む |
冷え性・虚寒証との関連性 |
熱証 |
のぼせ、口渇、顔色が赤い |
実熱証との違いを明確に |
虚証 |
体力低下、疲れやすい、声が小さい |
補益薬の適応判断 |
実証 |
体力あり、症状が強く出る、便秘など |
瀉下薬・理気薬の選定根拠 |
2. 処方と生薬の組み合わせを暗記
処方名 |
主な構成生薬 |
適応証 |
補中益気湯 |
人参・黄耆・白朮・当帰・陳皮・柴胡・升麻・甘草・生姜・大棗 |
気虚・寒証 |
当帰芍薬散 |
当帰・芍薬・川芎・茯苓・白朮・沢瀉 |
血虚・水滞 |
八味地黄丸 |
地黄・山茱萸・山薬・沢瀉・茯苓・牡丹皮・桂皮・附子 |
陽虚・寒証 |
桂枝茯苓丸 |
桂皮・茯苓・牡丹皮・桃仁・芍薬 |
瘀血・実証 |
3. 冷え性は「虚寒証」「実寒証」の違いを明確に
項目 |
虚寒証 |
実寒証 |
原因 |
体力・陽気の不足 |
外寒の侵入・寒邪の停滞 |
症状 |
手足の冷え、疲労感、顔色が白い |
急な冷え、腹痛、下痢、舌苔白厚 |
舌診 |
淡白、湿潤、薄い苔 |
白苔厚く、滑りやすい |
脈診 |
沈細、弱い |
沈緊、有力 |
処方例 |
補中益気湯、八味地黄丸、真武湯 |
大黄附子湯、五積散、小青竜湯 |
4. 気血水理論と五臓六腑の関係性を理解
五臓 |
関連する気血水 |
主な役割 |
冷え性との関係 |
肝 |
血・気 |
血の貯蔵・気の疏泄 |
肝血虚→月経不順・末端冷え |
心 |
血・気 |
血脈の運行・精神活動 |
心血虚→不眠・冷えのぼせ |
脾 |
気・水 |
飲食物の消化吸収・気血の生成 |
脾気虚→エネルギー不足・冷え |
肺 |
気・水 |
呼吸・水分代謝・免疫 |
肺気虚→体表の防衛力低下・寒がり |
腎 |
気・水・精 |
生命力の根源・水分代謝 |
腎陽虚→下半身の冷え・頻尿・疲労感 |
📝まとめ|冷え性は「証」で読み解く
冷え性は単なる「寒さ」ではなく、体質の乱れのサインです。漢方では「証」に基づいて、個々の体質や症状に合わせた処方を選び、根本からの改善を目指します。
- 証の理解は、漢方認定試験対策にも臨床応用にも不可欠
- 冷え性は「虚寒証」「実寒証」「気滞」「瘀血」「水滞」など多様な背景を持つ
- 食事・生活習慣の見直しも、漢方治療の効果を高める重要な要素
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