この記事は、OTC類似薬の保険給付見直しについて、「なぜ制度が見直されるのか」「何が確定し、何が調整中なのか」を整理する最新動向の解説記事です。
2026年5月29日に医療保険制度改正法が成立し、2027年3月から一部保険外療養が実施される予定です。本記事では制度の背景と患者への影響を中心に解説します。対象77成分の一覧、負担額の計算例、薬局での流れは、別記事「OTC類似薬の一部保険外療養」で詳しく確認できます。
【最新情報】77成分の全一覧と実務フローを公開しました
2026年8月1日時点の対象77成分を用途別に整理し、追加負担の対象外となる患者や薬局での流れまでまとめています。最新情報はOTC類似薬の一部保険外療養とは?対象77成分・負担額・薬局での流れをご覧ください。
2026年9月18日時点の要点
- 改正法は2026年5月29日に成立済み
- 実施予定は2027年3月
- 当初の対象は77成分・1,042品目
- 薬剤費の4分の1相当を特別の料金として追加する枠組み
- 保険給付がすべてなくなる制度ではない
- 配慮対象や具体的運用は最新の正式発表を確認する必要がある
OTC類似薬とは
「OTC類似薬」は、市販薬と同じまたは近い有効成分や効能を持つ医療用医薬品を説明するときに使われる言葉です。ただし、すべての場面で共通する固定的な法律上の分類名ではありません。
今回の当初対象は、厚生労働省資料において、OTC医薬品と有効成分・投与経路が同一で、1日最大用量が異ならない医療用医薬品を機械的に選定した77成分・1,042品目とされています。一般に「OTC類似薬」と呼ばれる薬がすべて直ちに対象になるわけではありません。
確定した基本枠組みと調整中の事項
| 区分 | 2026年9月18日時点の内容 |
|---|---|
| 法律 | 医療保険制度改正法が2026年5月29日に成立 |
| 実施時期 | 2027年3月を予定 |
| 当初の対象 | 77成分・1,042品目 |
| 追加負担 | 対象薬剤の薬剤費の4分の1相当を特別の料金とする基本枠組み |
| 配慮措置 | 子ども、低所得者、入院患者、慢性疾患等への具体的な適用範囲を検討 |
| 個別品目・運用 | 正式な対象一覧、判断方法、請求実務などは最新通知の確認が必要 |
保険が使えなくなる制度ではない
今回の見直しは、対象薬を保険給付から完全に除外し、薬代を全額自己負担にする仕組みではありません。対象となる場合、薬剤費の一部に通常の1~3割の自己負担とは別の「特別の料金」が加わる仕組みです。
報道で「薬代が25%になる」「自己負担が一律25%増える」と単純化すると誤解が生じます。基本的な考え方は、薬剤費の4分の1相当を特別の料金とし、残る部分に通常の保険給付と定率負担を適用するものです。実際の窓口額は、薬価、自己負担割合、処方量、配慮措置の適用などによって変わります。
診察料、処方箋料、調剤基本料など、薬剤費以外を含む窓口総額が一律に4分の1増えるという意味でもありません。
なぜ見直しが行われるのか
厚生労働省は、医療機関で保険を使って医療用医薬品の処方を受ける人と、自費でOTC医薬品を購入する人との公平性、現役世代を中心とする保険料負担の軽減を趣旨として説明しています。
一方、市販薬では対応しにくい患者、長期治療が必要な患者、経済的負担が大きい患者への影響も論点です。そのため、医療上の必要性や患者の状況を踏まえ、追加負担を求めない範囲が検討されています。
配慮が検討されている人・療養
厚生労働省の資料では、次の人や状況への配慮が検討されています。
- 子ども
- がん患者や難病患者など、配慮が必要な慢性疾患のある人
- 低所得者
- 入院患者
- 医師が対象薬の長期使用などを医療上必要と判断する人
- 市販薬と医療用医薬品で効能・効果が異なる場合など
ただし、「病名があれば自動的に対象外になる」と現時点で断定はできません。配慮措置の具体的範囲と確認方法は、今後の政省令・告示・通知など正式な運用情報を確認する必要があります。
対象となる薬をどう確認する?
当初対象は77成分・1,042品目とされていますが、同じ成分名でも投与経路、用量、効能・効果などによって扱いが異なる可能性があります。報道記事や成分名だけで、自分の薬が対象だと決めつけないでください。
確認するときは、薬の商品名、一般名、規格、剤形、使用目的をそろえ、厚生労働省の正式な対象品目一覧と照合します。お薬手帳を持参して医師・薬剤師へ相談すると確実です。
患者負担の考え方
仮に薬剤費が100円で配慮措置の対象外とすると、基本枠組み上は25円相当が特別の料金となり、残る75円相当の部分に通常の自己負担割合が適用される考え方です。ただし、これは仕組みを理解するための単純な例であり、実際の計算には端数処理や正式な算定方法などが関係します。
自分の窓口負担を知りたい場合は、制度開始後に薬局で、対象品目、処方量、自己負担割合、配慮措置の適用を確認してください。
長期収載品の選定療養とは別の制度
ジェネリック医薬品があるのに患者希望で先発医薬品を選ぶ場合の「長期収載品の選定療養」と、OTC類似薬の見直しは別制度です。どちらも「特別の料金」という表現が使われますが、対象となる理由や計算の基準が異なります。
薬局で追加負担について説明を受けたら、OTC類似薬の制度なのか、長期収載品の選定療養なのかを確認しましょう。
今すぐ薬を変更・中止する必要はない
制度の実施予定は2027年3月です。費用が変わる可能性を理由に、現在の処方薬を自己判断で中止したり、市販薬へ切り替えたりしないでください。
医療用医薬品と市販薬では、同じ成分でも用量、効能・効果、剤形、使用できる年齢、説明書上の注意点が異なる場合があります。特に子ども、妊娠・授乳中、慢性疾患がある方、複数の薬を使用している方は、医師・薬剤師へ確認が必要です。
受診前・薬局で確認したいこと
- 薬の商品名・一般名・規格
- 何の治療で、どのくらいの期間使っているか
- 市販薬では代替しにくい理由があるか
- 今後の負担見込みと配慮措置の対象になるか
- 代替薬がある場合の効果・副作用・用法の違い
- 自己変更せず次回受診まで継続すべきか
費用面が不安な場合も、相談することは問題ありません。治療上の必要性と生活上の負担を分けずに医師・薬剤師へ伝えましょう。
薬剤師の視点:市販薬へ単純に置き換えられない例
薬局では、有効成分だけでなく、用量、剤形、使用目的、服用期間、年齢、腎・肝機能、併用薬を確認します。同じ成分の市販薬が存在していても、慢性疾患の管理、検査値の確認、複数薬との調整が必要な場合があります。
一方、一時的な軽い症状で市販薬が選択肢になる場合もあります。大切なのは、制度だけを理由に一律に切り替えるのではなく、個別の安全性と治療目的を確認することです。
よくある質問
OTC類似薬はすべて保険対象外になりますか?
いいえ。今回の基本枠組みは、対象薬剤費の一部を特別の料金として追加するもので、全面的に保険給付から外す制度ではありません。
いつから負担が変わりますか?
2027年3月の実施が予定されています。正式な開始日や運用は、今後の厚生労働省の発表を確認してください。
対象は何品目ですか?
まず77成分・1,042品目が対象とされています。最終的な品目一覧と適用条件は正式資料で確認が必要です。
子どもや慢性疾患患者も支払いますか?
子ども、がん・難病などの慢性疾患患者、低所得者、入院患者、医療上長期使用が必要な人などへの配慮が検討されています。具体的な対象範囲は今後の正式決定を確認してください。
まとめ
- 改正法は2026年5月29日に成立し、2027年3月の実施を予定
- 当初対象は77成分・1,042品目
- 薬剤費の4分の1相当を特別の料金とする基本枠組み
- 保険が一律に使えなくなる制度ではない
- 配慮措置と個別品目は正式な最新情報を確認する
- 費用を理由に薬を自己中止・自己変更しない
処方薬の安全な使い方は処方薬総合ガイド、市販薬の分類と選び方はOTC医薬品の第1類・第2類・第3類の違い、症状別の記事を探す場合は市販薬ガイド|症状別の選び方と注意点も参考にしてください。
参考資料
- 厚生労働省:医療保険制度改正法が成立しました
- 厚生労働省:OTC類似薬の保険給付見直し・中間とりまとめ
- 厚生労働省:OTC類似薬の保険給付見直し技術的検討会
- 厚生労働省:OTC類似薬に関する大臣折衝事項
- 厚生労働省:OTC類似薬の保険給付見直しの実施について(医療保険部会とりまとめ)
- 厚生労働省:一部保険外療養制度に係る法令上の措置
情報確認日:2026年9月18日。制度の詳細は今後の政省令・告示・通知などで更新される可能性があります。この記事は一般的な情報提供を目的とし、個別の治療・処方・費用判断に代わるものではありません。
この記事の執筆・確認について
執筆・確認:ナカサポ(薬剤師)
薬剤師として医療現場で10年以上の実務経験があります。詳しい経歴と編集方針は運営者情報・編集方針をご確認ください。
市販薬を選ぶ前に確認したい条件
商品名だけでなく有効成分、含有量、対象年齢、服用回数を確認します。処方薬、ほかの市販薬、サプリメント、持病、妊娠・授乳の状況によっては使用できない場合があります。症状が改善しないときは、別の商品を重ねず薬剤師または医療機関へ相談してください。
相談時に伝えると役立つこと
- 症状の開始時期と変化
- 使用中の処方薬・市販薬・サプリメント
- 持病、アレルギー、副作用歴
- 妊娠・授乳、年齢、運転など生活上の条件
本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の服薬判断は、添付文書と最新の診療情報を確認できる医師・薬剤師へご相談ください。

